朝の頭痛は高血圧が原因?吐き気などの症状は脳腫瘍の可能性あり!

 

朝起きると頭が痛い
頭痛で目が覚める
頭痛と吐き気がする

 

このような経験はありませんか?
患者さんに話を聞くと

 

『高血圧だからな……』

 

と言われる方は少なくありません。
しかし高血圧のみで頭痛が起こることは悪性高血圧以外ではほとんどありえません。

 

『朝』『頭痛』『吐き気』
この組み合わせで気を付けるべきは脳腫瘍です。

 

実際の症例

吐き気を主訴として外来を受診された60代女性。
特に食事前後の胸やけ等はなし。
数年前に高血圧と高脂血症の診断。

 

まずは採血、腹部超音波の検査、胸腹部CTを行いました。
放射線科医の画像診断報告書には異常なしの文字。
続いて胃の内視鏡検査を行います。

 

検査後、内科Drの説明の際に、最近朝起きた時に頭痛がすることを話されました。
ここでDrはハッして脳のMRI検査を行います。

 

そのときの画像がこちら↓

 

赤丸で囲んだ部分に腫瘍があります。
これは髄膜腫という良性の腫瘍です。

 

ポイントは頭蓋内圧亢進症

『起床時の頭痛』という症状から脳の検査を行った理由。
それは『頭蓋内圧亢進症』というキーワードのためです。

 

脳腫瘍がある場合、腫瘍の体積により頭蓋内の圧が上昇してしまいます。この脳内の圧力が上昇した状態を頭蓋内圧亢進症といいます。この状態になると以下の症状が現れます。

 

  • 頭痛
  • 吐き気、悪心
  • うっ血乳頭(眼の充血)

 

特に起床時の頭痛が特徴的です。
ではなぜ起床時に頭痛が起こるのでしょうか。

 

腫瘍による起床時頭痛のわけ

睡眠中は起きている状態よりも呼吸が浅くなります。
さらにいびきなどによる換気不良も起こりやすい状態です。

 

そうするとわずかですが、血中炭酸ガス(二酸化炭素)濃度が高まるのです。

 

血中炭酸ガスは動脈を拡張させる働きがあるため、脳内の体積が増加します。そうするとただでさえ、腫瘍により圧排されている頭蓋内の圧力がさあらに高まり、頭痛が起こるのです。

 

以上の理由から
『起床時に最も頭痛が強く、昼になるにつれ徐々に痛みが引いていく』
このような症状は脳腫瘍が強く疑われます。

 

クッシング現象

また急性の頭蓋内圧亢進症ではクッシング現象という症状があらわれます。
クッシング現象とは

 

  • 血圧上昇
  • 徐脈(心拍数が遅くなること)

 

※クッシング症候群というものもありますが、クッシング現象とは全くの別物です。

 

ここで少し考えるとあれ?と感じる方もいるでしょう。
血圧が上がるってことは血液を多く送り出すということ。
血液を多く送る働きのはずなのに心拍数が減る??

 

一見矛盾してますよね。これは

 

頭蓋内圧亢進症により脳の体積が増加
→ 血管にかかる圧力が上昇
→ 全身の血圧も上昇
→ 上昇した血圧を一定に抑えようとする
→ 心拍数の減少

 

このような機序で起こるのがクッシング現象なのです。
この状態が進行してしまうと脳ヘルニアを生じて生命そのものが危険な状態になってしまいます。

 

高血圧が原因と思わずに医療機関の受診を

このように
『高血圧だから』
『頭痛は朝だけだから』
と思わずに、思い当たる症状があれば、一度脳神経外科もしくは神経内科の受診をお勧めします。

 

血圧だけにとらわれてしまうと、降圧剤の種類によってはより頭痛が悪化する場合もあるのです。(降圧剤によっては血管を拡張させることにより血圧を下げるタイプがあるため)

 

また吐き気や悪心に気をとられてしまうと胃や膵臓などの腹部臓器だと思いがちになるため、専門外の診療科で原因がいつまでもわからないということもあり得ます。

 

現在の医療は専門性が高まりつつあるため、専門外の疾患ではなかなか原因が見つかりづらくなっています。ある意味においては患者さんの協力なしでは病を発見しづらい一面があるのです。

 

もし思い当たることがあればご協力をよろしくお願いします。
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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