健康診断で血圧が高かった。
このような方は多くいます。
始めはびっくりしても今は薬で簡単に下げることができます。そしてたまに同年代と飲みにいくと話題にあがるのは血圧やコレステロールの話。
これが日常になってしまうのは危険です。
高血圧は自覚症状がほとんどなく、それ自体が命を脅かすことはほとんどありません。ですが放置しておくと脳梗塞や脳出血、心筋梗塞など重大な病の引き金になります。
それは何の前触れもなくある日突然起こってしまうものです。そうならないためにもこちらの記事では以下の血圧に関する基本的なことをお話しています。
✔そもそも血圧って何?
✔高血圧で起こりうる悪影響
✔日本人の死因と血圧の関係
✔高血圧の原因は大きく2つに分けられる
✔高血圧の原因について
この記事の目次
まず血圧とは何か

ドラマや映画でも緊急搬送のシーンで
『意識レベル300です!』とか
『バイタル安定してます!』とか
『脈拍90!』
というセリフをよく耳にします。
医学的な知識がしっかりしている脚本ならそこに必ず『血圧』という言葉が入っているはずです。
そのようなシーンを見ることがあれば注意してみて下さい。医療の現場でも診察前や検査前には必ず血圧測定を行います。
では、血圧とは何でしょうか?
説明してと言われても意外と
ん?となりますよね。

正常血圧とされる値は
- 収縮期血圧が120mmHg未満
- 拡張期血圧が 80mmHg未満
と定められています。
高血圧とは

高血圧とは具体的な数字として
収縮期血圧が140mmHg以上 あるいは
拡張期血圧が90mmHg以上
であることを言います。
(2015年現在の日本。アメリカでは120mmHg以上とする動きがあり注目を集めています)

あまり認知されとらんが実は怖いんじゃよ。しげさんも知らん方が変な心配せんでいいかもしれんぞ
高血圧の合併症とは

高血圧の合併症といわれてもピンときませんよね?しかしこれが高血圧の最も恐ろしい部分なんです。
高血圧とは血管に高い圧力がかかった状態のことです。この状態が長く続くとどういうことが起こると思いますか?
血管が硬くなってしまう
血管の内側が傷つく
傷つくとその部分を修復しようと血管が狭くなる
このような現象が起こります。
すると血管が破けやすくなったり、血管の壁に血栓を作ったり、血管を狭めて血流量が減ったりといったことが起こるのです。
その結果が脳梗塞、脳出血、心筋梗塞、狭心症などの疾患です。これらの疾患は重篤な後遺症が残ったり、致命的になる直接的な原因となります。
病院ではこのような疾患での救急搬送が毎日のようにあります。そしてその方々の多くがカルテ内に『高血圧加療中』の文字があるのです。
高血圧には自覚症状がありません。
そのため多くの方がその本当の危険性を認識していないのです。ゆっくりとしかし確実に病の発症リスクは上がっていきます。
そして前触れもなく上記のような重い疾患が突然発症してしまうのです。

この事実を反映するかのように、現在日本人の死因のは以下のとおりじゃ。
1位 悪性新生物(癌)
2位 心疾患
3位 肺炎
4位 脳血管疾患(脳卒中)
このうち心疾患と脳血管疾患は高血圧と深い関わりがあるんじゃ
高血圧の原因の分類

高血圧の原因は2つに分類されています。

実は高血圧は
- 本態性高血圧(90%)
- 二次性高血圧(10%)
この2つに分類されるぞ!
本態性高血圧は一次性高血圧とも呼ばれるがなんと原因不明
二次性高血圧は原因が特定できるものなんじゃ
二次性高血圧は腎臓病やホルモン異常などの病気が原因なので、病気が治ると血圧も正常に戻ります。
問題は本態性高血圧です。
日本国民の4人に1人が高血圧と言われているにも関わらず90%が原因不明。どう考えてもおかしいですよね。
これは原因不明というよりも特定ができないという方が正確です。
原因が特定できたものを二次性高血圧としているという認識です。ではなぜ原因がわからないのか……一言でいうと原因になりうる要素が多すぎるのです。
高血圧の原因

『いやいやいやいや、今の時代に原因不明?』とこう思いませんでしたか?
しかし高血圧はなかなか奥深いんです。ある意味、人間の構造の素晴らしさゆえなのかもしれません……それほどに多くの要因が絡み合っています。
そして、複雑であるがゆえに悪循環に陥るとなかなか抜け出せません。要因同士が相互に悪影響を及ぼしてしまうのです。

本態性高血圧となる原因
- 塩分過剰摂取
- 肥満
- 運動不足
- 喫煙
- 過剰飲酒
- ストレス
- 遺伝的要因
- 老化
- 食生活の偏り
WHO(世界保健機関)の調査によると25歳以上で3人に1人は高血圧というデータがあるぞ。日本では50歳以上だと2人に1人じゃ。
50歳以上だと50%以上の確率でいつ脳卒中、心臓疾患にかかってもおかしくないということじゃな
ではここから簡単にこの原因についてお話していきます。
塩分過剰摂取

私マック大好きです。揚げ物も味噌汁も漬物も大好きです。控えめにしろと妻にいつも怒られています。しかし『なんで塩分だめなの?』ということなんですよね。高血圧を気を付けるにあたって
食事は2番目に重要です。
1日24時間のうち3回も行われる行為です。では塩分の過剰摂取するとどうなるか。

塩分を摂取しすぎると体内でどんな変化があると思う?汗をかいた場合の塩分補給は非常に重要じゃ。じゃが、過剰摂取はようないぞ!
- 塩分(ナトリウム)を取りすぎるじゃろ?
- 身体は血液中の塩分濃度を下げようとする
- その方法は単純で水で薄めるんじゃ
- 血液中の水分量が増加
- 当然血液の全体量が増加
- その結果血圧上昇↑↑
血圧が上がる原因が少しイメージできたかの?
血液量が多くなることで血圧が上がり、効率よく腎臓から水分と塩分が排出されます。現在では塩分摂取量は高血圧と関係ないという研究論文も存在します。しかし何においても適量が望ましいことは確かです。
肥満

続いて肥満についてです。
ドキッとしましたか?
私もです笑
実は肥満には分類があるんです。
- 皮下脂肪肥満
- 内臓脂肪肥満
どちらも健康上はよろしくありませんが、より問題となるのは
内臓脂肪肥満(メタボリックシンドローム)です。
肥満になると標準体型に比べ高血圧になる確率は2~3倍になります。では肥満が血圧とどう関係しているのでしょうか。
- 肥満は身体が大きいため血液の循環量が増加 → 心臓により強い圧力がかかり血圧上昇
- インスリン(血液中の余分な糖を脂肪として蓄える働きがあるホルモン)の分泌が多くなり交感神経を刺激し血圧上昇
- 内臓脂肪によりインスリン抵抗性が高まると糖代謝が低下し血圧上昇
- また脂肪を蓄えると血管壁に脂肪の塊ができ、血圧上昇
- 食べ過ぎによる塩分過剰摂取により血圧上昇
- 脂肪細胞が分泌するアディポサイトカインの善玉悪玉のバランスが崩れる
最後に聞いたことない言葉がでてきましたね。
『アディポサイトカイン』

Adipo(脂肪)cytokine(生理活性物質)
最近わかってきた話じゃな。
脂肪細胞はエネルギーの貯蔵という働きだけでなく、物質の分泌も行う内分泌細胞であることがわかってきたんじゃ
このアディポサイトカインには善玉悪玉があって、いくつかの種類があるぞ。
【善玉】
- レプチン
- アディポネクチン
【悪玉】
- TNF-α
- PAI-1
- 遊離脂肪酸
- インターロイキン6
- MCP-1
- アンジオポエチン
肥満になるほど善玉が減り悪玉が増えていくという悪循環になることがわかっておるぞ。
ちなみに善玉は悪玉コレステロールを減らしてくれたり、代謝を上げてくれたりと体にとってはいいことばかりの働きをしてくれるぞ
善玉には食欲を抑える働きや動脈硬化を修復してくれる役割があるのに対して、悪玉は高血圧や糖尿病や動脈硬化を進行させる働きがあります。
このように悪循環に陥りやすい肥満ですが、その分改善もいいサイクルが生まれます。肥満の方が1kg減量すると血圧は2mmHg下がると言われています。
運動不足

まず最初に高血圧の方は負荷の強い運動は最初は控えて下さい。
非常に危険です。
運動すると心臓がバクバクしますよね?
いろいろな理由がありますが、主に血圧を上げることで筋肉に血液で酸素を運んでいるんです。もともと血圧が高いのにさらに心臓や血管に負荷がかかったら……危険なのはわかると思います。

ポイント
肥満物質である脂肪は筋肉でしか消費されないんじゃ。
これ意外と知られてないんじゃよ。
筋肉で酸素を消費することによって脂肪が分解されるんじゃ。そのため
有酸素運動が健康には最も効果的なんじゃよ。
食べずに体重を落とすのではなく、食べて筋肉をつけて脂肪を減らすのが理想じゃ
ちなみに高血圧では食事が2番目に重要といいましたが、最も重要なのがこの運動です。
極端なことを言えば、めちゃくちゃな食生活であったとしても、しっかり運動さえ行えていれば血圧やコレステロールは正常を保つことができます。
運動不足は高血圧だけでなく、高脂血症、糖尿病、肥満などとも深い関連があります。運動により心臓を鍛え血液の流れをスムーズにしましょう。
喫煙

タバコ、なかなかやめれませんよね。
食後と一仕事終えたあとの一服はおいしく感じます。
しかし喫煙は高血圧に多大なる影響を及ぼします。
喫煙と聞くと肺癌などのイメージが強いと思いますが、癌以外でも動脈硬化や脂質異常症など様々な影響があります。

喫煙による血圧が高くなる要素
- ニコチンの作用によりアドレナリンやノルアドレナリンが分泌
- 交感神経が刺激される
- 血中の一酸化炭素の増加により血液中の酸素が不足する
- 血液中のFFA(遊離脂肪酸)を増加させる
- 肥満で出てきた善玉のアディポネクチンを減少させる
しかし、デメリットばかりでもありません。
ニコチンに含まれる成分
- ドパミン(快感)
- ノルエピネフリン(覚醒)
- セロトニン(抗うつ作用)
など脳内の神経伝達物質の分泌を高める成分があります。しかし、これが依存症の原因でもあります。
メリットに比べ体内におけるデメリットが圧倒的ですので、やはり喫煙はお勧めしません。
これもそれぞれ書きたいですが長くなるためまた別にまとめたいと思っています。
過剰飲酒

飲酒と喫煙は体によくないと思っている方も多いのではないでしょうか?実はアルコールによる血圧上昇の発生機序はまだ詳しくわかってないません。
適度な飲酒は血管を広げる作用があり、血圧を下げる働きや動脈硬化を防いでくれる働きがあるということがわかっています。が、逆に高血圧や動脈硬化の原因にもなりえます。

ポイント
飲酒のメリット
- 一次的に血圧が下がる
- ストレスの解消
- HDL(善玉)コレステロールを増やす
- 血液を固まりにくくする
- 適量の飲酒を摂取した方が全く飲まない人より死亡率が低い
- 血流がよくなる
- ドーパミンの分泌によりリラックスできる
一見いいことだらけに見えますね。
だからといってガバガバ飲むのはいけません。当然デメリットもあります。

ポイント
飲酒のデメリット
- 日々の飲酒量が多いほど血圧の平均値は上がる
- 食欲が増進するためつまみによる塩分過剰摂取になりがち
- 脳の萎縮
- 肝臓の負担が大きく肝硬変、肝炎など肝機能障害になりやすい
- 交感神経の刺激により心臓への負担が大きく不整脈、心肥大、心不全の原因となる
- 過剰摂取は動脈硬化、高血圧、糖尿病、脳卒中など生活習慣病と深い関わりがある
- 依存症の可能性 など
上手に楽しめばいいことも多いですが、過剰摂取はそれをはるかに上回るデメリットを抱えることになってしまいます。では適量とはどのくらいでしょうか?厚生労働省やアルコール健康医学協会では
1日平均純アルコールで約20g程度が適量と定めています。
具体的な量の一覧
種類 | 量 | 目安 | アルコール度数 |
ビール | 500ml | 中瓶1本 | 5% |
日本酒 | 180ml | 1合 | 15% |
焼酎 | 180ml | 1合 | 35% |
ウイスキー | 60ml | ダブル | 43% |
ブランデー | 60ml | ダブル | 43% |
ワイン | 120ml | 1杯分 | 12% |
ストレス

ストレスにより血圧が上昇することはよく知られています。しかし、飲酒や喫煙などと違い心理的な要因で生活習慣病?と思われる方も多いのではないでしょうか?簡単に仕組みをみていきましょう。
- ストレスがかかる
- 血圧や脈拍をコントロールしている自律神経のバランスが崩れる
- 自律神経の乱れにより、交感神経の活動が高まる
- 交感神経の働きによりホルモン『ノルアドレナリン』が分泌
- 血圧上昇や血管の収縮、脈拍の上昇
- 血管や循環器系への負担
精神的な要因でも体の負担はホルモンの影響として現れるのです。また白衣高血圧症と言われるものも存在します。これは病院にて血圧測定をする際、緊張により普段よりも高い血圧結果となってしまうものです。
白衣高血圧に関してはこちらの記事でお話しています。
遺伝的影響

前述しているように高血圧は様々な要因か複雑に絡みあっています。両親より受け継いだ『責任遺伝子』について、はっきりとしたことは未解明ではありますが、以下のことについては研究論文が発表されています。
- 両親が正常血圧である場合、子供が高血圧になる確率は5%
- 両親のどちらかが高血圧であった場合、子供が高血圧になる確率は30%
- 両親ともに高血圧であった場合、子供が高血圧になる確率は60%
これはあくまで確率の話であり、両親ともに高血圧であったとしても、運動や食生活、生活習慣により発症を抑えることができます。
老化

これは致し方ないことですね。残念ながら加齢とともに血圧は高くなっていきます。
- 65歳以上では66%
- 75歳以上では80%
が高血圧という統計結果が出ています。
高齢者高血圧の特徴
- 収縮期血圧が高くなる(拡張期血圧には変化なし)
- 起立性低血圧や食後貧血が起こりやすい
- 白衣高血圧症が多い
原因の最たるものはやはり血管の老化です。若いときには太くしなやかな血管も加齢とともに細く硬くなってしまいます。そのために収縮期血圧が高くなってしまうんです。
しかし日本高血圧学会のガイドラインによれば、60歳以上の高血圧症の積極的な治療で以下の疾患発生率の減少が認められています。
- 脳卒中死 36%
- 脳卒中発症 35%
- 冠動脈疾患死(心臓) 25%
- 冠動脈疾患(心臓) 15%
食生活の偏り

食塩過剰摂取にて食事が2番目に重要ということはお話しました。特に以下のことにお気を付けください。
- 塩分を摂りすぎない
- 摂取カロリーを抑える
- 脂肪、特に動物性脂肪を控える(適量は必要です)
- 規則正しい食生活
- 飲酒は適量を心がける
人の体のもとであるタンパク質は全20種類のアミノ酸が集まってできています。
20種類のうち体内で合成されないものを必須アミノ酸と言います。この必須アミノ酸は9種類あり、食事から補う必要があるのですが、バランスよく摂取する必要があるのです。
この必須アミノ酸は9種類あるうち最も摂取量の低いものに合わせて体に作用するからです。仮に9種類のうち8種類を10摂取したとします。1種類を3しか摂取していなかったら………
他の8種類は3摂取したときの働きしかしてくれないんです。
その他の栄養に関してはこの限りではありませんが、やはりバランスのいい食事にこしたことはありません。
まとめ
血圧とは血液が血管を押す力で
- 収縮期血圧
- 拡張期血圧 を測定する。
高血圧
- 収縮期血圧が 140mmHg 以上
- 拡張期血圧が 90mmHg 以上
分類
- 本態性高血圧(90%) → 原因不明
- 二次性高血圧(10%) → 他疾患によるもの
原因
- 塩分過剰摂取
- 肥満
- 運動不足
- 喫煙
- 過剰飲酒
- ストレス
- 遺伝的要因
- 老化
- 食生活の偏り など
いかがでしたでしょうか。
高血圧は実に様々な要因が複雑に絡み合っています。
まずは生活習慣の見直しをしてみましょう。
ポイント
血圧とは血液が血管を通過するときにかかる圧力のことじゃ。
身体の隅々まで血液を運ぶために心臓は勢いよく血液を送り出しておるんじゃ。その際に血管にかかる圧力のことを『血圧』と言うんじゃぞ。
心臓は心筋(心臓の筋肉)が収縮と拡張を繰り返すことで血液を送り出しておる。拡張することで血液を心臓に溜めて、収縮することで溜まった血液を一気に送り出りだすというわけじゃな。
じゃから血管も心臓と同じようにドクドクと拍動しておるんじゃ。よく手首で脈を測ったりするじゃろ?
これを収縮期血圧
これを拡張期血圧 と言うぞ。