2012年10月から日本でもMRI対応のペースメーカーが認可されています。

 

でも実際に検査できる病院はまだごくわずか……

 

今回はそんなMRI対応ペースメーカーについて。

 

条件付きMRI対応ペースメーカーとは

 

一昔前までペースメーカーを体内に埋め込まれている方はMRIは絶対にダメな検査でした。

 

しかし2008年より世界に先駆けて欧州より条件付きMRI対応ペースメーカーが発売。医療関係者はこの発表をうけて多少なりとも驚きと不安を覚えたはずです。

 

『え?まじ?大丈夫?』
『どんな条件があって、事故が起こる可能性はないの?』
『事故とか起こったら怖いわ』

 

このような不安要素がある中で安全に検査が行えるかどうかの動向を見守っている施設も少なくないと思います。

 

欧州での発売後は2011年に米国で、2012年から日本で認可されています。
現在新規でペースメーカーを植込みする場合はほとんどがMRI対応のものです。

 

 

その特徴は磁場やRFパルスの影響を最小限にするためのリード線と本体。

 

 

ペースメーカーの各社がリード線と本体に様々な細工を施すことで一定の条件下でMRI検査が可能になりました。

 

そもそもペースメーカーが必要なのは心筋梗塞等の血管障害があるため。
でも植込んだあとは検査ができない。

 

これはジレンマでした。
一説にはペースメーカーの植込み症例において50~75%が一生涯でMRI検査を必要と推定している報告もあります。

 

脳梗塞や動脈瘤など救急の際にMRI検査を行えることは現場にとっては非常に大きな意味を持ちます。

 

しかしMRI対応のペースメーカーだからといって簡単に検査できるわけでもありません。
検査のためには一定の条件を満たしている必要があります。

 

MRI対応のペースメーカーの実施条件

 

まず大前提としてペースメーカーの本体だけでなく、ペースメーカーのリード線とプログラムの3つで構成されるペーシングシステムのすべてがMRI対応のものでなければいけません。

 

また以前にペースメーカーの植込みをしていてMRI非対応のリードが体内に残存している場合は残存リードが重大な問題を引き起こすことが報告されています。

 

そのため残存リードを抜去しない限りMRI検査は実施できません。

 

以上のことを踏まえた上でMRI対応のペースメーカーの実施条件9つを以下に示します。

※この実施条件は日本放射線学会(JRS)日本磁気共鳴学会(JSMRM)日本不整脈学会(JHRS)によるものです。

 

①MRI対応ペースメーカーの使用説明書に記載された条件で検査が行えるように設定できるMRI装置を使用すること

基本的にMRI検査を行う場合の対応機種は1.5テスラのMRI装置。
MRI撮影条件の設定が必要でMRI機種メーカーに依頼することで、メーカー側で設定してもらうことが可能です。

これはすぐにでも対応可能な条件です

 

②検査を実施する前に関係する循環器医師・放射線科医師・放射線技師・臨床工学技士の各々が所定の研修を修了していること

病院側の研修が必要ということ。
MRI対応ペースメーカーは販売各社により仕様が異なります。

そのため検査対象となるペースメーカーの販売元が定める研修を修了している必要があります。

例えば前回A社の研修を受けたからB社のペースメーカーも検査できるというわけではなく、新たにB社の研修も受ける必要があります。

 

③研修を修了した循環器医師がMRI検査の安全性を確認し、同医師が検査の依頼を行うこと。循環器医師以外が検査を依頼する場合や植込みを他医で行っている場合も同様の手順で行うこと

基本的にペースメーカーの定期的なチェックは循環器医師により行われます。機器チェックには植込んでいるペースメーカーの販売元の担当者が病院に出向いて精度管理を行います。

そのため循環器医師の研修修了と検査依頼が推奨されています。

 

④患者は常に『MRI対応心臓植込み型電気デバイス』などと明示されたカードを携帯し、検査の際はペースメーカー手帳などとともに提示しなければMRI検査を受けることはできない

ペースメーカーの機種確認や安全性の確保のために必要な条件です。
場合によっては命に関わることもあるため必ず医療機関に提出して下さい。

 

⑤検査に際してはMRI対応ペースメーカー装着患者のMRI検査マニュアルを遵守し、MRI検査依頼時から検査後までのチェックリストに従って検査を行う

医療機関は各病院に沿った検査マニュアルとチェックリストを作成し、より一層の安全性を確保する必要があります。病院によっては同意書への署名が必要な場合も。

 

⑥MRI検査直前の最終確認は循環器医師または臨床工学技士あるいは臨床検査技師が行う

こちらは機器の操作に精通している必要があるため、ペースメーカーの販売元の担当者が検査前に病院に出向いてプログラムの設定と検査後の機器チェックを行うケースがほとんどだと思います。

 

⑦検査中はパルスオキシメーターあるいは心電図モニターを用いて心拍を連続的に監視すること。また電気的除細動器を備え必要時には直ちに使用できるようにしておくこと

パルスオキシメーターはよほどの大きな病院でなければ導入しているところは少ないと思われます。

しかし1.5テスラのMRI装置であれば、そのほとんどに心電図のモニターが可能な機能がついているため、検査中に観察し続けることができます。

 

⑧不整脈発生など検査中の不測の事態に即座に対応できる体制のあること

検査中の容体の急変など不測の事態に備えることは、ペースメーカーの検査時だけでなく、普段から必要なことです。

特に造影剤といった薬を使用する場合も少なくないMRI。
検査中は常に気を張っていなければいけません。

 

⑨MRI検査後のリプログラミングの確認は循環器医師が行う

こちらも⑥と同じく販売元の担当者が行う場合がほとんどだと思います。

 

 

このようにMRI対応のペースメーカーといってもいくつかの条件をクリアしなければ、検査を行うことができません。対応している病院は徐々に増えていますが、まだまだ少ないのが現状です。

 

新たに植込まれているペースメーカーのほとんどはMRI対応のものであることを考えると、近い将来には多くの病院が対応に追われることになるでしょう。

 

徐々に普及しつつあるMRI対応ペースメーカーと実施可能な病院。
検査時には以下のことに気を付けて下さい。

 

検査時の注意点

 

実際に検査を行う際に必ず必要なのがペースメーカー手帳。

 

これは絶対に忘れないで下さい。

 

この手帳により情報の確認を行います。
検査を予約するのであれば必ず事前に医療機関へ提示して下さい。

 

またMRI対応のペースメーカーだからといって他の体内金属が検査可能というわけでもありません。

 

こちらでMRI対応なものかどうか一度目を通して下さい。

 

 

いかがでしたでしょうか?

少し専門的な話もありましたが、MRI対応ペースメーカーは必要とする方にとっては非常に魅力のあるデバイスです。

 

発売されて間もないこの機器を安全かつ有効に利用していくことで多くの方がその恩恵を受けられます。

 

しかし一歩間違えれば重大な医療事故に繋がりかねません。
安全に検査を行うためにもご協力をお願いします。

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