妊活中の健康診断は大丈夫?レントゲンやバリウムの被ばくの影響は?

 

健康診断をしていると
『今妊活中なんですが、大丈夫でしょうか?』
という方がたまにいらっしゃいます。

 

私も以前先輩から一度
『妹が妊娠に気づかず健康診断でレントゲン検査を受けたけど影響は大丈夫なのか?』
と相談を受けたことがあります。

 

やはり放射線の影響は心配になりますよね。
赤ちゃんへの被ばくの影響やその可能性についてお話していきます。

 

健康診断で被ばくを伴う検査

 

 

健康診断で放射線を利用する検査は主に3つです。

 

  • 腰部レントゲン検査
  • 胃透視検査(バリウム)
  • マンモグラフィ

 

では放射線の赤ちゃんへの影響とはどのようなものがあるのでしょうか。

 

放射線の赤ちゃんへの影響

 

まず結論から言うと、健康診断での放射線被ばくはほぼ気にしなくて大丈夫です。
(言い切ってしまうと若干問題があるかもしれませんが……)

 

ICRP(国際放射線防護委員会)でも

大部分の正しく行われた診断手法から受ける出生前線量では、出生前あるいは出生 後の死亡、奇形を含む発生障害、又は精神発達障害について、これらの実体のバックグラ ウンド発生率を超える測定可能なリスクの増加はない。治療的手法に伴うような高線量では、発育障害を生じる可能性がある。

参考資料:医療における放射線防護(ICRP)

 

このように明記されています。
治療的手法に伴うような高線量では……との記載がありますが、これは癌などの治療に用いるガンマナイフなどの放射線治療のことです。

 

といってもまだ不安は残りますよね。
本当に大丈夫なのと。

 

赤ちゃんへの放射線の影響は主に3つの段階に分けられています。

 

  • 着床前期  → 受精後約9日間
  • 器官形成期 → 受精後2~8週
  • 胎児期   → 受精後8週以降

 

この中でも特に多いのが受精後2~8週に健康診断を受けて心配になるパターンです。
生理周期が安定しない方は妊娠に気づかず検査を受けてしまう場合があるようです。

 

それぞれどのような影響が起こり得るのか簡単に解説していきます。

 

着床前期(しきい値 100mGy)

この時期に被ばくすると流産の可能性があります。
といっても胚(胎児になる前の状態)の死亡は母親が気づかない場合がほとんどです。

死亡した胚は子宮内で自然に吸収されます。
この時期の影響はDead or  Alive なので出産後に奇形や発達遅延などは起こりません。

 

器官形成期(しきい値 250mGy)

この時期の被ばくは奇形発生の可能性があります。
重症の場合は出産後に死亡する場合も。

ただし奇形は放射線以外の原因でも起こりえます。
放射線が原因の奇形は器官形成期以外の被ばくでは起こりません。

 

胎児期(しきい値 300mGy)

発癌・遺伝的影響・発育遅延などが起こりえます。

 

ちょっと解説

 

ここでしきい値って何?と思いましたよね。
しきい値とは影響が起こりうる放射線被ばくの量のことを言います。

 

ここまでその値をGy(グレイ)と表現しています。
ここでもグレイって何?ですよね。

 

Gyとは放射線の量のことです。

 

TVなどでは放射線の単位としてよくシーベルト(Sv)が用いられていますね。このあたりが一般の方にはわかりづらいく混乱しやすい表現です。。

 

Svとは放射線の種類を考慮した単位です。
例えばX線は

1Gy=1Sv

 

α線という放射線では

1Gy=20Sv

 

こちらの記事ではGyをSvと置き換えていただいて差支えありません。

 

検査での被ばく量はどのくらい?

 

これまでの話のように影響のことを知るとより不安になってしまいますよね。私も無駄に不安を煽るようなことはしたくありません。

 

ただ今のネット社会だと少し調べれば多くの情報が目に入ってきます。
そのため少しでもより正確な知識を参考にしていただきたいと思い細かい話をしています。

 

私も子供がいる身ですので、心配になる気持ちはわかります。

 

少し話が逸れましたが、放射線を利用した検査の被ばく量はどの程度でしょうか。
以下にまとめます。

 

検査の種類 線量
 自然界からの放射線  2.4mSV
 胸部X線  0.06mSv
 CT検査  5~30mSv
 胃透視(バリウム)検査  3mSv
 乳房撮影(マンモグラフィ)  2mSv
 歯科撮影  0.002~0.01mSv
 飛行機 東京~NY(往復)  0.2mSv

 

いかがでしょうか。
線量を見ればほぼ問題ない値であることがわかりますね。

 

放射線医学総合研究所においても

放射線量として、100 ミリシーベルト以下では胎児への影響(奇形、精神遅滞など)は起こらないと考えられています。また、胎児へのその他の影響(小児期や成人期のがん)については、生活習慣など放射線以外のものを原因として生じる危険性と比べて、現在の状況で住民の方が受ける可能性のある少量の放射線から 予 測される危険性は遥かに小さいと考えられるため、過度に心配する必要はありません。

参考資料:放射線医学総合研究所

 

このように記されています。

 

ちなみにインドやイランでの自然界からの放射線は約100mSV/年です。
これは発癌が懸念されはじめる値とされています。

 

このように医療で利用される放射線はごくわずかな線量であるため、健康診断で検査を受けてもほぼ問題ないと言えるのです。しかし、そこはやはり目に見えない放射線。

 

妊娠中の不安を取り除くためにも、当院では妊娠の可能性のある方の検査は控えるようにしています。

 

妊活中でも確実に大丈夫な期間は?

 

赤ちゃんのことを考えるとなるべく被ばくはしたくない。
でも自分の健康も気になる。
妊活中でもなるべく検査は受けたい。

 

このような場合は確実に妊娠していない期間に検査を受けることが望ましいですよね。

 

それは月経開始後の10日間です。

 

この期間はほぼ確実に妊娠していないため、赤ちゃんへの被ばくの影響を心配される方は、この期間に検査を受けることをお勧めします。

 

ただし検尿などは月経中の提出はできません。
なかなか難しい期間ですよね。

 

ただ月経期間を過ぎると高温期になってきます。
するとやはり検査も不安になりますよね。

 

そのような場合は一度保健師さんや医師へ相談されてみて下さい。
不安があれば月経期間中に検査を行い、検尿のみ後日提出など柔軟に対応してくれるはずです。

 

では最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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