脳梗塞を診断するために病院で行われる検査!CTとMRIで何がわかる?

 

『片側の手足がしびれる』
『言葉がうまく話せない』
『歩いていると左右どちらかに傾く』
『表情に左右差がある』

 

このように脳梗塞が疑われた場合、病院では診断のためにどのようなことをするのでしょうか。

 

脳梗塞は治療開始までの時間との闘いでもあります。
血管が詰まることで血流が途絶えてしまった脳組織が壊死していくためです。

 

バイタルサインの確認

脳梗塞が疑われた場合、まず病院で行うのはバイタルサインの確認です。
よく医療のドラマでも看護師が

 

『先生!バイタル低下してます!』

 

このようなセリフを言ってますよね。
もし次に医療系のドラマを見ることがあれば意識してみて下さい。

 

最近の医療ドラマは昔に比べると臨床の情報や手技などが正確に描かれています。
一昔前ではレントゲン写真が裏表になっていたりと興ざめな場面も多くありました。

 

それはそれで間違い探しのようでおもしろかったんですが……
少し話が逸れましたが、バイタルサインとは以下の4つのことです。

 

  • 血圧
  • 呼吸数
  • 体温
  • 脈拍

 

この4つは身体の状態を表す指標として救急現場では意識レベルとともに重要なものです。

 

例えば血圧。
極端な例ですが、症状があり血圧が200で搬送されてくるような方は脳出血の可能性が高かったり、逆に低すぎる場合では低血糖や起立性低血圧、脳梗塞など様々な疾患が考えられるためです。

 

問診

次に本人に意識がある場合は問診をとります。
意識がない場合は家族や付き添いの方から聴き取りを行います。

 

脳卒中で特に重要視されるのは発症時間です。
発症からの経過時間により治療内容が変わってくるため、症状が現れた時間をなるべく正確に医師または看護師に伝えましょう。

 

脳梗塞が疑われた場合は以下の情報が聞かれます。

 

  • 症状はいつからか
  • どんな症状か
  • 症状に変化はあったか
  • 過去に似たような症状があったのか
  • 高血圧・糖尿病・心疾患などの持病はあるか
  • 服用している薬はあるか
  • 飲酒や喫煙習慣(1日あたりにどのくらいか)

 

 

場合によってはこの問診により以後の検査内容が異なったり、疑われる疾患にあたりをつけたりするためできるだけ正確な情報伝達を心がけて下さい。

 

診察

問診による聴き取りの後は診察です。
脳梗塞が疑われた場合は一般的な診察にくわえ、神経学的診察が行われます。
一般的な診察は視診や聴診や触診により全身状態を診ていきます。

 

視診

皮膚の状態や粘膜、爪などを観察していきます。
貧血や黄疸の有無などをチェックします。

 

聴診

心臓の動きや肺の呼吸音をチェックしていきます。
また脳梗塞が疑われる場合は頸部(首)の聴診も行います。
動脈硬化により血管内が障害されていると血液が流れる音に雑音が混じっているためです。

 

触診

脳梗塞の場合、両手足の脈拍に左右差があることがあります。
触診で調べることで脈拍の強弱や左右差がわかります。
また手足のむくみなどもチェックしていきます。

 

以上が一般的な内科の診察になります。
おそらく内科にかかったことがある方は誰もが一度は受けていることではないでしょうか。

 

また脳梗塞が疑われる場合、内科的診察にくわえ神経学的診察も行われます。

 

神経学的診察

この診察により脳梗塞が起こった部位を特定し、治療方針などを検討していきます。
障害の程度をはっきりさせるための評価です。
自立できる場合は歩いたり片足で立ったりして運動機能や反射機能・感覚機能をチェックしていきます。

 

意識がない場合は呼びかけや痛みや音に対する反応を観察して評価を行います。
現在では臨床に『NIHSS』という脳卒中の指標となるスケールがあります。

 

 

多くの場合がここまでで症状の原因となる疾患を予測することが可能です。
これ以降は確定診断をするための検査と合併症を調べるための検査となります。

 

臨床検査

 

診察後は病院や医師の方針により若干の違いはありますが一般的には
血液検査・尿検査・心電図・胸部X線検査・超音波検査
などを行います。

 

胸部X線検査など脳梗塞とは関係ないと思われがちですが、呼吸器や循環器や消化器などの疾患の有無を調べるためです。原因や合併症の対策のための情報を拾い上げます。

 

画像検査

特に脳梗塞において重要となるのが画像検査。
画像検査により脳卒中であれば、それが脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血のどれなのかを調べていきます。

 

CT検査

脳梗塞を疑われる場合、その多くにCT検査が実施されます。
その目的は脳出血・クモ膜下出血との鑑別(見分け)を行うためです。

 

出血があった場合、CTの画像上では出血部位が白くうつるためすぐに診断がつきます。
また脳梗塞でも梗塞が原因となり出血を起こす場合もあります。(梗塞性出血)

 

CTの場合発症直後の梗塞は見分けがつきにくいというデメリットはありますが、出血であれば発症直後から画像所見が現れるため脳卒中の検査において非常に重要です。

 

実際の画像

脳出血

発症直後の脳梗塞CT画像

梗塞性出血のCT画像

 

MRI検査

CT画像にて出血が確認できなかった場合は脳梗塞の疑いが強くなります。
この時点で症状や障害の程度、意識障害などによりおおよその重症度を把握することも可能です。

 

CTは放射線を利用した検査ですが、MRIは磁石を使った検査です。
一見同じような画像にも見えますが、読み取れる情報はCTとは異なるのです。

 

CTでは発症直後の脳梗塞の有無はわかりづらいのですが、MRIは『拡散強調画像(DWI)』という撮影法であれば発症後30分ほどで病巣の検出が可能です。

 

またMRIの特徴はCTでは1種類の画像しか撮影できませんが、MRIは撮影条件の設定を変更することで数種類の異なった情報を持つ画像を得ることができます。

 

例えばT2強調画像では水成分を白く表示することができます。
他にもT1強調画像では脂肪成分を白く表示させます。
また血管のみを抽出することも可能です。

 

このように聞くとMRI検査の方が優れていると思うかもしれませんが、CTとMRIでは読み取れる情報がそれぞれ異なるため、どちらの検査がいいとは一概には言えません。

 

脳梗塞DWI画像

 

脳梗塞の種類を調べる臨床検査

以上の画像検査のより脳梗塞の可能性が高い場合は次に脳梗塞の種類を調べるための検査が行われます。

 

ここから先の検査は設備が大きなものも含まれているため病院により装置がない場合もあります。しかし大きな装置での検査ができないから診断ができないというわけではありません。

 

以下の検査は必要に応じて行う検査と考えて下さい。

 

  • 頸動脈超音波検査
  • 心臓超音波検査
  • ホルター心電図検査
  • 脳血管造影検査
  • CTA(CTにて造影剤を使用した検査)
  • SPECT検査
  • PET検査
  • 血小板・血液凝固検査  など

 

 

ほとんどの場合はCT画像・MRI画像の所見でだいたいの梗塞の範囲と梗塞を起こした血管にあたりをつけることが可能です。脳梗塞は時間との戦いでもあるため、発症からの経過時間によってはこれらの検査を行わずにCT・MRIの画像で治療方針を決定する場合もあります。

 

そのため問診のところでもお話しているように『症状が現れた時間』をしっかりと把握しておくことが重要です。発症しないにこしたことはありませんが、万が一のことを考えてこのことは頭の片隅に留めておいて下さい。

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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