心臓ペースメーカーがMRI禁忌の理由とは?スマホや電気自動車の影響は?

日本での心臓ペースメーカー植込みは年間約6万件。

そのうち新規の植込みは4万件もあり年々増加しています。

ペースメーカーを植込む最大のデメリットはMRI検査ができなくなるということです。

 

心臓ペースメーカーとは

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毎年多くの方が植込みしているペースメーカー。
こちらの記事を見ていただいているということは『ペースメーカーを入れているけど検査できるの?』と疑問に思われてのことだと思います。

 

まずは心臓ペースメーカーがどのようなものか簡単にお話していきますね。

 

本来心臓は一定のリズムで筋肉(心筋といいます)が収縮と弛緩を繰り返し、血液を全身に送る役割を担っています。ポンプの作用ですね。

 

しかし病気や不整脈により心臓が機能しなくなる場合があるのです。

 

 

そんな時に心筋に電気を送ることで刺激し、必要な心筋の収縮を発生させるのがペースメーカーの役割です。

 

 

整骨院などで電気治療を受けたことがありませんか?
電気治療にて電気が流れると筋肉が自分の意識とは関係なく収縮したという経験があると思います。

 

それと同じ作用で心筋を刺激するのです。

 

心臓ペースメーカーの機能

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つまりペースメーカーは常に働いているわけではないのです。
心筋が正常な動きをしなかったときに電気刺激を与えるという役割です。

 

 

そのためペースメーカーは心筋の動きの『感知』と心筋を動かすための『刺激』を与えるという2つのことをしなければなりません。

 

 

これは心臓に植込んだリード線にて行います。
リード線で心筋の動きを感知し、本体にて電気信号を発生。

 

リード線にて電気刺激を与えることで心筋の収縮を促します。
このリード線の構造によりいくつかのタイプがあります。

 

リード線にタイプ?と思いませんでしたか?
こちらは説明するよりも図で見た方がわかりやすいので下図を参考程度に眺めておいて下さい。

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このように様々なタイプがあり、それぞれに特徴があります。
話をすると少し長くなるため今回は省略しますね。

 

こういうタイプもあるんだなぐらいに留めておいて下さい。

 

心臓ペースメーカーがMRI禁止の理由

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ここまででペースメーカーの大まかな働きはわかっていただけたでしょうか。
ここからが本題です。

 

ペースメーカーはなぜMRI検査がダメなのか……

 

MRI検査は磁石を使った検査です。
検査室内へ時計や磁気カードを持ち込むとその磁場により壊れてしまいます。

 

この時点でなんとなく電子機器の持ち込みはダメな気がしますよね。
実際にペースメーカーがMRIと関連した死亡例も報告されています。

 

以下で具体的な理由をお話していきます。

 

リード線の発熱

もっとも影響を与えるであろう弊害です。
MRIは簡単にいうと大きな電子レンジです。

 

磁石と電磁波(RFパルスといいます)を利用することで、対象物の内部構造を画像化しています。

 

電子レンジの中に金属を入れたことがありますか?
おそらくそうそういないとは思いますが……

 

金属を入れた電子レンジで温めを開始してみると……
火花が飛び散ります。

 

これは温める際の電磁波を金属が吸収してしまい発熱するためです。
ペースメーカーにはリード線がありますよね。

 

このリード線の発熱により心筋を損傷させる恐れがあるのです。

 

心筋刺激の発生

これはペースメーカーの誤作動とも言える現象です。
RFパルスの発生によりリード線に電流が流れる恐れがあります。

 

するとその電流がペースメーカーの誤作動を誘発し、意図しない心筋刺激が加わる可能性が指摘されているのです。

 

その結果、心室細動や心室頻拍といった命に関わる可能性が出てきます。

 

必要な刺激に対する抑制

このようにリード線に電流が流れるデメリットは他にもあります。
本当に必要な刺激信号が流れなくなる可能性もあるのです。

 

設定のリセット

ペースメーカーの設定のリセットが引き起こされることが指摘されています。
ここまでの話では省いていましたがペースメーカーは『感知』と『刺激』において値の設定が必要となります。

 

この設定をリセットされることでプログラムが変更され、心室細動や心室頻拍が起こる可能性もあるのです。

 

 

このようにMRI検査では様々な問題が生じてしまう心臓ペースメーカー。
実は2016年現在ではMRI対応のペースメーカーも存在します。

 

詳しくはこちらをどうぞ。

 

このように徐脈や不整脈を防いでくれるペースメーカーですが、少し前は携帯やスマホの影響についてメディアで取り上げられていました。

 

特に満員電車では心配になるという場合も少なくないようです。

 

スマホや電気自動車の影響は?

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最近の私たちの日常生活では様々なものの電子化やワイヤレス化に伴い、電磁波が以前よりも身近になっています。

 

日常生活におけるものの中でペースメーカーに影響を与えるものはどのくらいあるのでしょうか。
厚生労働省や総務省などで注意喚起されている機器は

  • IH炊飯器
  • IH調理機
  • 低周波治療器
  • 体脂肪計
  • スマートキーシステム
  • ワイヤレスカードシステム
  • 全自動麻雀卓

 

などが上げられています。
結構いろいろなものがありますね。

 

携帯電話やスマホは以前は電車内では電源を切るようなアナウンスがなされていましたが、現在では『混雑時の優先席付近のみ』とされています。

 

これは影響を与える距離が15cmとされた上に、通信が3GやLTEではほとんど影響を与えないと考えられているためです。

 

また最近普及しつつある電気自動車の急速充電器からの電磁波の影響も懸念されています。
こちらのPDFに詳しいことが記載されています。

 

いかがでしたでしょうか。

 

心臓の機能を保ってくれるペースメーカーですが、やはりデメリットも存在します。
しかし正しい知識をもち、しっかりと対応することで安全安心に使用することができる医療機器です。

 

もし何かわからないことや不安なことがありましたら、下のコメント欄よりご連絡いただけると幸いです。

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

4 件のコメント

  • 守屋泰二様コメントありがとうございます。

    現在では電気自動車の車内外におけるペースメーカーへの影響は認められていません。
    運転についてはご安心下さい。

    ただ記事中のリンクにありますように、電気自動車の充電器には注意されて下さい。
    植込み型医療機器への電気自動車充電器からの影響について検証試験が行われた結果、最大53cm(充電器から植込み型医療機器までの距離)で影響があったとの報告があります。

    しかしこれは可逆的な変化のため、近づいても充電器から速やかに離れることで、その影響を回避できます。

    またこれらの検証は植込み型医療機器の感度を最大にして行われているため日常ではよほど充電器に密着しない限り影響を受けることは少ないです。しかし影響が全くないわけではないため充電器の近くにいる場合はなるべく近づかないようにお気を付けください。

    追記

    ただし植込み型除細動器(ICD)および両心室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)に関しては自動車運転は原則禁止とされています。

    運転の許可及び免許の維持には特定の研修と医師の診断書が必要となるため、関連事項については別記事にて詳しく記載する予定です。

  • ペースメーカー装置4年になります。スカイツリーとか
    東京タワーに行っても大丈夫でしょうか?

    • 高橋様

      コメントありがとうございます。
      申し訳ありません。
      職場の臨床工学技師に問い合わせしましたがはっきりとした回答は得られませんでした。

      ただ日本では総務省がだしている『電波防護指針』があります。
      スカイツリー、東京タワーどちらもこの指針を満たしているため、一度ご自身で調べられてみて下さい。

      不安があれば植込まれているメーカーに問い合わせてみて下さい。
      お力になれず申し訳ありません。

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