今から10年以上前ですが、心臓ペースメーカー(PM)を植込まれた方がCT検査を受けた際、一過性ではあるもののペーシングが乱れたという報告がありました。

 

当時日本国内ではすでに1万台以上ものCTが稼働しています。

 

この報告があり、各施設での対応は様々。
どのような対応方法があり、その根拠がなんなのか。

 

少し詳しくお話していきます。

 

記事内容

CT検査によるPMとICDの誤作動

基本的な仕組み

CTにて起こりうる2つの誤作動

誤作動を起こさないための対応

 

CT検査で心臓ペースメーカーとICDが誤作動

 

2000年代初めにCTスキャン中に心臓ペースメーカーに誤作動が起こることが確認されました。それまではCT検査はペースメーカーや植込み型除細動器(ICD)に影響を与えないとされてきていました。

 

これを受けて、厚労省や循環器医師会、不整脈デバイス工業会、臨床検査技師会、放射線技師会など大騒ぎとなりました。。

 

どのような誤作動を起こすのか、簡単にお話します。

 

心臓ペースメーカー(PM)と植込み型除細動器(ICD)の仕組み

 

PMとICDの働きは心臓の動きがおかしい場合に、電気的な刺激を与えることです。刺激を与えることで心臓の筋肉の動きをコントロールするのです。

 

そのためこれらの機器には以下の2つの機能があります。

 

・心臓の動きを『感知』と『抑制』する部分(センシング)
・心臓の筋肉を『刺激』する部分(ペーシング)

 

心臓ペースメーカーの働き

 

心臓の動きが弱くなった場合にペーシングによる刺激を与えます。
そうすることで心臓の筋肉を正常な心拍数に戻す働きをします。

 

植込み型除細動器(ICD)の働き

 

植込み型除細動器(ICD)とは小型化されたAEDのようなものです。
心室頻拍や心室細動などのときに電気ショック(センシング)を行い、心臓の動きを正常に戻します。

 

CT検査での誤作動

 

PMとICDではどのような誤作動が起こりえるのでしょうか。

 

起こりうる誤作動
  • 部分的リセット(PM)
  • オーバーセンシング(PM/ICD)

 

この2つが起こりえます。

 

部分的リセット

これはメドトロニック社製のInSync8040にて確認された誤作動です。
ペースメーカーでのみで起こる現象です。

各個人で設定されているペースメーカーの設定が一律リセットされてしまう現象です。

 

オーバーセンシング

これはPM/ICDのどちらにも起こりえます。
外部からの刺激を心臓の動きと勘違いした機器が心臓の動きを抑制(センシング)します。

つまり抑制する必要のない心臓の動きに対して、抑制をかけてしまうのです。

 

対応

 

PMに関しては、X線を5秒以上照射することで誤作動を起こす確率があります。そのため、PMの本体部分を避けて撮影を行うという対策が一般的です。

 

ただし、現在のCT装置にて同じ部位を5秒も照射することはほぼあり得ません。施設によっては検査のベネフィットが上回ると判断して、撮影を行っている場合もあります。

 

PMに関しては、私の職場でも以前は本体部分を避けて撮影していましたが、現在は影響なしと判断し撮影を行っています。

 

ICDに関しては、X線照射によるオーバーセンシングの可能性は否定できないため、一律本体部分を避けての検査を義務付けています。

 

植込み型心臓ペースメーカ等

(1)添付文書の「重要な基本的注意事項」の項に以下の内容を記載すること。

ア) 植込み型心臓ペースメーカ
「本品を植込んだ患者のX線CT検査に際し、本体にX線束が連続的に照射されるとオーバーセンシングが起こり、本品のペーシング出力が一時的に抑制される場合があるので、本体にX線束を5秒以上照射しないよう十分に注意すること(相互作用の項参照)。」

イ)植込み型除細動器
「本品を植込んだ患者のX線CT検査に際し、本体にX線束が連続的に照射されるとオーバーセンシングが起こり、適切な治療の一時的な抑制又は不適切な頻拍治療を行う可能性があるので、本体にX線束を照射しないよう十分に注意すること(相互作用の項参照)。」

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 Pmda より抜粋

仮に照射してしまったとしてもPM/ICDの再設定を行うことで、その後のリスクを減らせるため、心配であれば医師や看護師、臨床検査技師、放射線技師、臨床工学技士などに相談されてみて下さい。

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