糖尿病の急性合併症とは?発症したときの症状や原因や対応について

現在予備軍も含めると1000万人以上とも言われる糖尿病。

本当に怖いのは糖尿病の合併症です。

糖尿病の合併症といえば慢性合併症として有名な3大合併症がありますね。

しかしあまり知られていませんが、急性合併症も命を落としかねないのです

 

糖尿病の合併症

the-human-body-1279964_640

糖尿病における血糖値コントロールの目的は主に合併症の予防といっても過言ではありません。

 

糖尿病の合併症は急性合併症と慢性合併症に分けられます。失明の原因や人工透析の最多原因となる慢性合併症についてはこちらをご覧ください。
糖尿病の慢性合併症の危険性!症状が現れる順番とその期間についても

 

通常『糖尿病の合併症』というのは慢性合併症を指します。今回はあまり知られていない急性合併症のお話です。

 

 

糖尿病の急性合併症

being-alone-513526_640

急性合併症は主に3つあります。

糖尿病昏睡

急性感染症

低血糖

 

このどれもが血糖値が急激に変化することにより起こります。特に高血糖なのに低血糖が合併症?と思いませんでしたか。できるだけ簡単にお話していきます。

 

糖尿病昏睡

842cf9147c068afce4a021ac5e1dab14_s

糖尿病性昏睡とはインスリンの作用が低下し、意識障害を生じるものです。まずはどのようにして起こるのかをお話します。特にインスリンを使用されている場合は注意が必要です。

 

①インスリンの働きが極度に低下。

②ブドウ糖が細胞に取り込まれなくなる。

③しかし細胞にはエネルギーが必要。そのため蓄えてある脂肪を分解しエネルギーとする。

 

『え?脂肪分解?痩せるんじゃないの?』

そうなんです。ここまでならダイエットによさそうに聞こえますよね。しかし問題はここからです。

 

④脂肪が分解される過程でケトン体が生成。

⑤血液中のケトン体が過剰に増えると血液が酸性になります。

 

この状態をケトアシドーシスといい、脳の機能が低下し昏睡状態になってしまうのです。

 

 

症状

糖尿病昏睡の症状は以下のようなものです。突然以下のような症状が現れたときは注意が必要です。

 

全身倦怠感
多尿
激しい口渇感
吐き気
嘔吐
腹痛
意識障害

 

特に喉の渇きとともに腹痛や吐き気などの症状が出た場合はケトアシドーシスの症状の可能性が高まります。このような場合はまずは医療機関へ電話にて問い合わせましょう。

 

 

原因

糖尿病昏睡を起こす原因は以下のものです。

 

インスリン注射の打ち忘れや自己判断での中止
肺炎などの重篤な感染症
過労
ストレス
暴飲暴食    など

 

 

特に気を付けたいのがインスリンの自己注射です。

 

  • 注射するのを忘れた
  • 調子がいいから自分で判断して量を減らした

 

このような場合に血糖値のコントロールができなくなり、ケトアシドーシスが起こってしまいます。危険ですので、くれぐれもインスリンや薬は用法用量を正しく守って使用して下さい。

 

 

治療

治療の方法としてはまず第一にインスリン投与が行われます。その後輸液(脱水の補正)などが行われます。

また他に原因となる疾患がある場合は原因疾患の治療や脳卒中、心筋梗塞などの合併症の予防措置がとられます。

 

 

急性感染症

upper-body-944557_640

糖尿病と感染症。ぱっと言われても関連性がわかりませんよね。しかし糖尿病は感染症と深い関わりがあるのです。

 

糖尿病になると細菌やウイルスなどに対する体の免疫(抵抗力)が弱くなってしまいます。そのため肺炎や膀胱炎などの感染症にかかりやすくなってしまうのです。

 

『なんで免疫が落ちるんだよ?』と気になりませんか?

 

 

これもやはり血糖値です。血糖値が高くなると体の免疫システムの1つである白血球のパフォーマンスが低下してしまいます。また高血圧や動脈硬化による血流障害で白血球が病変部まで行きにくくなってしまうのです。

 

 

症状

これは感染する細菌やウイルスにより異なるため一概には言えません。以下に特に関連の深いものをあげておきます。

 

呼吸器 → 風邪 気管支炎 結核 肺炎

口腔内 → 虫歯 歯周病

尿路系 → 腎盂腎炎 膀胱炎

皮膚  → 皮下腫瘍 毛嚢炎 白癬菌症(水虫や爪白癬など)

その他 → 胆のう炎 糖尿病壊疽 など

 

特に呼吸器には気を付けて下さい。2016年現在死因の第3位は肺炎です。それだけ長寿の国ということでもありますが、多くの方が亡くなられています。

 

 

原因

前述しましたが、糖尿病の方は高血糖による免疫力の低下が原因で感染症を発症しやすくなっています。

手っ取り早く免疫を上げる方法は運動です。もし体の状態が許すのであれば、1日5分だけでもいいので軽い運動をしてみましょう!

 

 

治療

抗菌薬もしくは抗ウイルス薬の投与。これにつきます。細菌やウイルスを撃退するか数を増やさないようにします。

糖尿病は血糖値だけではなく、体の免疫などにも注意が必要です。

 

 

低血糖

diabetes-528678_640

糖尿病で高血糖なのに低血糖が合併症とはどういうことでしょうか?

 

 

主に糖尿病で起こる低血糖はインスリン投与や薬によって引き起こされます。

 

 

実はこの低血糖、脳梗塞と非常によく似た症状が現れます。こちらで実際にあった事例をご紹介していますが、救急の現場でもこのようなことがあるのです。
低血糖症は脳梗塞のような症状?救急搬送の症例と正しい対処法について

 

低血糖についてはこちらで詳しくお話しているため今回は概要のみお話しますね。

 

 

症状

低血糖の症状を以下にあげておきます。

 

空腹
震え
発汗
唇の乾燥
意識障害
発語困難
不穏(おかしな言動) など

 

上記リンクでお話しているとおり、症状は脳梗塞に似ています。実際の医療現場でも間違われることがあるため注意が必要です。

 

 

原因

糖尿病の方の主な原因はインスリンや薬の効きすぎや投与量が多い場合に起こってしまいます。また食事の時間が不規則であったり、食事の量が少なすぎることも原因となります。

 

また激しい運動や飲酒、解熱剤や鎮痛剤の投与でも低血糖を発症する恐れがあります。低血糖は場合によっては命にかかわることもあるため、糖尿病の方は生活習慣が非常に重要となります。

 

気にしすぎることはストレスにもつながるので、ある程度でかまいません。生活習慣には少しだけ気を付けてみて下さい。

 

 

治療

もし自分で気づいた場合はアメや砂糖などからブドウ糖を摂取することで、驚くほど改善されます。しかし血糖の値によっては意識障害や昏睡状態にもなってしまう低血糖。自分で気が付かない場合もあります。

 

意識があれば第三者が糖分のあるものを口に入れてあげるといいです。しかし、意識がない場合は無理に口に入れると誤って気管に入る可能性もあります。グルカゴン注射がある場合は筋肉注射が最も望ましい対応です。

 

 

いかがでしたでしょうか。
糖尿病にはこのように急激に起こりうる合併症も存在します。

 

もしものときのためにも『糖尿病カード』を持参しましょう。
救急外来では時として旅先で低血糖になり搬送されてくる方もいらっしゃいます。

 

家族との旅行ならば、病歴や服用中の薬などの情報はある程度把握できます。
しかし社員旅行の場合などは何も情報がないまま診察と治療を行う必要があります。

 

治療開始までの時間も重要です。糖尿病に限らず持病がある場合はどんな病気なのか、服用中の薬は何か、既往歴などを書いたカード等を携帯されることをお勧めします。

 

緊急時にスムーズな治療を行うためにもご協力をお願いしますね。

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です